髭剃りをしていると何かが外れて洗面台に落ちた。
替刃が割れたのかと思ったらT字剃刀の持ち手の上部カバーが外れただけだった。
妻が言う。
「消耗品だから仕方ないよ」
「確かに」
そう思いつつも昔から貝印を使い続け、巷のドラッグストアにもジレットやシックといった洋物が並ぶ中替刃をネットで購入し続けた。
そのこだわりがいつの間にか自分の中で単なる「消耗品」を超えていたのではないか。
理由はわからない。
ほぼ毎日使うもので肌に直接触れるもので時に肌を傷つけ血を流すこともある。
その密着感や傷つけ、傷つけられる関係が単なる消耗品を超えさせたのか。
間違いなく愛着のある道具であり、職人さんのそれのような存在になっていたのかもしれない。
消耗されるための消耗品なるものは存在せず、想いの乗らない道具があるだけ。
そんな消耗品を使い続けている限り持続可能な成長なんてあり得ない。
身の回りにある製品を一つずつ「職人さんの道具」に変えていきたい。
髭剃りの秘訣)