流浪の旅人

「流浪の旅人」になりたいと思っていた頃があった。



家を持たず、永遠に旅を続ける人間に。



高校の頃だったか、大学時代だったかは覚えていない。



旅の途中で朽ち果ててもいいとさえ何となく思っていた。



別の夢もあったから特に意識をすることはなかったけれど、改めて考えてみると心が荒んでいたのかもしれない。



そして、



その理由として思い当たるのは、



「帰ってこれる場所」がなかったということ。



「帰りたい場所」がなかったから。



長渕剛の名曲ガンジスのフレーズが頭の中で鳴り響く。http://music.goo.ne.jp/sp/lyric/LYRUTND6879/index.html



旅をするのは、帰る場所があるからだ
さすらいの旅ほど 淋しいものはない



そうだ。



今、一人で居ることができるのは、



帰る場所があるからだ。



帰りたい場所があるから。



もう「流浪の旅人」になることはない。