不安の解消法3 ー心の風邪の治し方ー

昨日、一昨日と「不安の解消法」と題してブログを綴った。
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120308http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120309



今日は「心の風邪」とも「国民病」とも言われる「うつ病」を取り上げてみたい。



と言うのも、先日放映されたNHKスペシャル 「ここまで来た!うつ病治療」が驚くべき内容だったから。



番組を自分なりにまとめてみよう。



日本国内のうつ病患者は100万人を超える。



薬を飲んでも治らない、一旦職場に戻っても元のようには働けない、そんなイメージを持っている人は少なくないのではないか。



その常識が変わり始めているという。



最新の脳科学がうつ病の正体を次々と解き明かし、新たな治療が登場し始めているのだ。



一般的にうつ病と診断されるのは、



気分が落ち込む
悲しくなる
眠れなくなるなど



これら5つ以上の症状が二週間以上続く時。



診断が下されると、適度な休養と抗鬱薬を処方されることが多いが、現状では3人に1人が治らない。



そのうつ病が「心の病気」ではなく、「脳の病気」だということが最新の研究でわかり始めたというのだ。



現在アメリカで広がり始めている薬に頼らない画期的な治療法を見てみよう。



うつ病治療専用の強力な磁気を発生させる機械を頭に当て脳を直接刺激する。経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)、TMSと呼ばれ、全米400箇所の医療施設に設置されている。



刺激するのは頭の前の部分。1回40分間磁気刺激を与えていく。これを効果が出てくるまで毎日行う。



と言っても、効果は驚くほど早く、かつ劇的に表れる。番組内の患者は治療を開始してわずか2日後に、朝起きて、朝食が採れるようになった。十数年もの間できなかったことがだ。



うつ病患者は前頭葉に流れる血流量が健康な人に比べて少なくなっていて、それを磁気刺激によって活性化することで効果を生んでいるらしい。



もう少し詳しく説明しよう。



脳の中にあるDLPFC(背外側前頭野 はいがいそくぜんとうぜんや)は、考えたり、判断や意欲に関する場所。



脳の奥深くにあるへんとう体は、不安や恐怖、悲しみなどの感情が生まれる場所。人間が生きていくために必要な機能だけれど、うつ病患者はここが暴走している状態なのだという。過剰に活動し、不安や恐怖、悲しみが止まらないのだ。



DLPFCを刺激し、活性化させることでへんとう体にブレーキをかけ、不安や恐怖、悲しみを止める。と同時に、判断力や意欲を回復させることができる。



番組では多くの薬を使っても症状が改善しない患者に磁気刺激を与えることで数日から数週間で劇的な変化が表れた。研究者によると、患者も回復を実感できるために治療に限らず運動や食事など規則正しい生活に取り組む意欲が高まるのだという。つまり、回復に向けたよい循環が生まれるということ。



「真っ暗な穴に落ちてどうしたら抜け出せるか全くわからない。人生を絶望の中で生きていくしかないと諦めていた状態から抜け出せたことはまさに奇跡だ。」



インタビューに応じた患者がそう語っていた。その表情は安堵に満ち、感謝の気持ちと優しさ、そして、希望に満ち溢れていた。



このクリニックではおよそ7割の患者が磁気刺激で回復しているという。



しかし、日本でこの最新療法を使うにはまだ数年はかかる見込み。日本独自に安全性と有効性を確認し、承認されなければ治療には使えないのだ。



番組ではそれ以外にも脳深部刺激による治療法、新たに日本で始まった光トポグラフィー検査、認知行動療法などが紹介されていた。



国民病、心の風邪と呼ばれるほど多くの人が苦しんでいる病にもかかわらず、日本における病院や診療体制、治療方法はまだまだお粗末な状態と言わざるを得ない。



医療分野における基礎研究や診療方法の発展と合わせて我々自身の病に対する理解や協力、支援体制を整えていかなければならない。



なぜなら、この現代のストレス社会においていつ誰がその病を患うかもしれないのだから。