「好きな食べ物聞かれちゃった」
「好きな食いもん知りてえってのは、君のことが好きですって意味だろ」
「・・・じゃあ、並木君は? 好きな食べ物何ですか?」
「俺? ナポリタン!」
「そっか・・・またね・・・」
Netflixのドラマ「First love 初恋」からの一節である。
「月が綺麗ですね」
かつて夏目漱石が"I love you "をそう訳したという話を思い出した。(本当のことかどうかはさておき)
日本人はとかく間接的な表現が好きである。
少なくとも直接的な表現を避ける傾向があって、直接的な物言いは、野暮というか、粋ではないとか、礼に欠けるとか、そんな雰囲気がある。
核心を敢えてつかない、間接的に表現することを良しとする、そんな文化が根付いている。
それが批判されることも少なくないけれど、ここにきて改めて再評価されていることも事実。
直接的な表現はわかりやすさと引き換えに簡単に人を傷つけてしまう。
「和をもって尊しとなす」と表現されるように「和」を大切にするという価値観を優先させるために直接的な表現を避けているのであろう。
直接的ではなく、間接的に伝えたい思いを伝える方法を磨くことが、日本人の存在意義であり、目指すものかもしれない。