「日本人は中国人に比べて、一人ひとりが独特なユニバース(宇宙・世界観)を持っているように見えて、そこが素晴らしいと思います。多様な文化やアートを吸収して自由に組み合わせ、自分なりの独特な世界観を持っているように思えるんです」
DXことデジタルトランスフォーメーションが叫ばれて久しい。
猫も杓子もDXを唱える中「アフターデジタル」の世界を中国の最新の情報を踏まえて展開する本に衝撃を受け、その続編も矢継ぎ早に発刊された。
冒頭の台詞は「アフターデジタル2」からの引用である。
その感想の出所も理由もわかりやすのでそのまま引用しよう。
なぜこのような発言が出てきたのでしょうか。中国は「金銭的な豊かさ」というメインストリームがある一方で、日本は
経済的成熟によってそのフェーズを一度杉、多様化している国だと言えます。中国は貧富の差が大きく、また、30年間経済が大きく成長し続けたことで給料が10倍になることもあり得ない話では
ありません。こうした状況下では、「お金を稼ぐ」「生活を豊かにする」ことが大きな「幸福」の方向として位置づけられ、
文化やアートでも「儲かるメインストリーム」を軸に展開され、思想統制も相まって、日本ほどの多様性、特異性が生まれ
にくい構造にあります。一方の日本はというと、「総中産階級」といわれるようにグローバルで見れば貧富の差は小さく、年功序列がまだまだ
一般的であるため、給料が短期間に倍になるという状況はなかなか想像できません。「お金を稼ぐ」「生活を豊かにする」
という「幸福」の方向付けはすぐ天井が見えてしまうため、「自分らしい幸福や生き方」を求めて、多様に飛散していき、
一般人による二次創作漫画やアニメなどのストーリーを自分で解釈して書き換えた創作物などを指す)のような市場も
盛んです。そう考えてみると、深センのアーティストは、私たち日本人が様々な文化やストーリーに可子kまれながら、自分らしいものを
寄せ集めてくっつけて生きているように見えており、それが「自分らしさ」を表すユニバースのようだという表現になったのではないでしょうか。
我々日本人はもう少し自信を持っていい。
世界を知ってもう少し謙虚になっていい。
その独特な世界観を自信を持って形にし、世界に発信していけるようになりたい。
その一翼を担いたい。