「最近、見方というか、感じ方が変わってきたって思うんだよね」
「どういうこと?」
「対象物がここにあるとしたら前は目の前でこういう風に見えてたものが、この辺で見えるというか感じるんだよなあ」
ジェスチャーをしながら高校2年生の息子は半ば独り言のように呟く。
その手は対象物からすぐ目の前にあった視点がかなり後ろに引かれていることを表していた。
「お父さんが言っていた『勉強はゲームと同じ』ってのがわかるような気がしてきた。やらないといけないものだとしか思ってなかったけど、見方が変わってきたら面白いかもって」
「そうだね。勉強もそうだけど、人生そのものがゲームって考えたらいいかも。◯◯がそう感じられるようになってるのはレベルアップしている証拠だよ」
タラララタッター!
ドラゴンクエストのレベルアップ音が聞こえた気がした。