「憮然としてるんです。」
冷静さを保ちつつも電話の相手に失望と怒りを表すためにそんな表現を使ってクレームを言った。
結局、そのクレームの原因となるものは自分の勘違いに過ぎず、恥ずかしい思いをしたのだけれど、問題が解決して一安心(本当はそもそも問題自体起こってなかったことにはなるのだが)。
それ以外にも職場で誰かのミスを指摘して改善を求めようとして後からそれが本人のミスではなかったというような勘違いがここ何件か続いている。
感情は人間らしさを作るものであると同時に人間としての難しさを感じさせるものでもある。
特に、怒りの感情を発露する時には気をつけなければならない。
それが大きな力になりうるとわかっていても使い方を一歩間違えれば自らを滅ぼすほどの害を与えることもある。
「憮然とする」
その表現は、本来の意味と一般的に使われる用法が異なっていて、使用には特に注意が必要だ。
デジタル大辞泉の解説
ぶ‐ぜん【×憮然】[ト・タル][文][形動タリ]失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。「―としてため息をつく」「―たる面持ちで成り行きを見る」
[補説]近年、「憮然たる面持ちで」とした場合、「腹を立てているような顔つき」の意味で使われることが多くなっているが、本来は誤り。文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」で、「憮然として立ち去った」の例では、本来の意味とされる「失望してぼんやりとしている様子」で使う人が17.1パーセント、本来の意味ではない「腹を立てている様子」で使う人が70.8パーセントという逆転した結果が出ている。
今回は、あまり意識せずに使ったことで恥ずかしさを感じつつも抑え気味だった怒りに結果として、後から調べた単語の意味と合致していて安堵した面と両方あったのだけれど、
怒りや不満を表現する方法としてうまく言葉を使えなかった自分に
憮然とした。