心の栞

 

おかしな夢を見た。

 

そこはロシア。

 

スタジアムと呼ぶよりは収容所を思い浮かべるような開けた場所で大学生くらいの若者たちがサッカーをしていた。

 

暫くしてプレーを終えた彼らはそれがいつものしきたりのように自らピッチ(フィールド)を整備し始める。

 

それ自体は何らおかしなことでもなんでもないのだが、ピッチはそのまま畑と言ってもいいような肥沃な地でトンボで平されて余った土がグラウンドの端っこに次々と寄せられていく。そこからは今にもミミズや太ったジャガイモが出てきそう。

 

そんな光景を目にしながら頭を過るのは羨ましさと新たな希望。

 

と言うのも、その世界では何らかの出来事/時代を経て、経済難、食糧難に陥っていて、相互に助け合う必要性があったから。

 

試合後にその収容所の所長なのか大学の校長先生のような人がスピーチをする。

 

ロシア語なのになぜか理解できる。

 

滔々と語る内容で記憶に残っているのはこうだ。

 

「自分の先生や上司にはできるだけ遅く良い言葉や表現に出合ってもらいましょう。そして、皆さん自身も良い言葉や良い話を聞いたら誰かに伝えるようにして下さい。そうすることで助けられる人が必ずいるからです。その時にその言葉を必要としている人が必ずいるからです。そして、それを誰かに伝えることであなた自身が必要とした時にその言葉をまた別の誰かから聞くことができる可能性が生まれるからです。謂わば、心の栞と言ってもいいかもしれません。」

 

ロシアのことはよく知らないけれど、何となくロシア的な言い回しであり、いい話だと思った。

 

いつの日か回り回って自分のところに還ってくる日を楽しみにして今日も心の栞を差し込んでおこう。