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砂漠に染み込む水

 

「お笑い」と”sense of humor”は全く異なるもの。

 

芸としての「お笑い」に対し、日常の中で誰もが無意識のうちに口角が上がるようなやり取りや社会や生きるたいへんさを異なる角度で眺め、言葉に表し、笑い合う。それを共有する力

を”sense of humor”(ユーモアのセンス)と呼ぶ。

 

欧米人が日常生活においてユーモアを大切にする反面、日本人は「お笑い」はプロのもの、或いは一部の面白い人がするもの、人を笑かそうとする多少なりとも力技を必要とするもの、という印象を持つ人が多い。特に公共の場においては真面目さが大事で笑いは失礼という考え方もまだまだ根強い。

 

つい先日、脳科学者の茂木健一郎とお笑いタレントの松本人志の間のお笑い論争がヒートアップした。日本の「お笑い」の幅の広さや質の高さは誰もが認めるところだが、茂木氏は日本のお笑いをディスるのではなく、ただ単になかなか良くならない日本の政治や社会を「お笑い」という武器をもっと使うべきと主張したかったのではないか。日本の「お笑い」の力をもっと有効活用できるのではないか、そういうエールを送りたかっただけだったのではないかと思った。

 

先日、訪問先への手土産にシュークリームを20個ほど買った。その時店員さんが「お持ち帰りのお時間はどれくらいですか?」と尋ねるので笑顔で「1分半くらいですかね」と冗談を言ったら真顔でスルーされた。

 

2000円ちょっとの支払いにクレジットカードを出すと今度は「お支払い回数はいかがいたしましょう?」と訊かれたので「36回払いで」とまた冗談を繰り出すと、沈黙が場を制す。「冗談です」と返す言葉は砂漠に染み込む水のように何の効力も発揮しない。

 

身内や友人、職場はもちろんのこと、もう少し冗談が言える、通じる社会になったらいいなと思った。

 

エープリルフールの日に