知り合いの子どもが太極拳の全国大会に出場すると聞いて見に行った。
そこには老若男女問わず全国から選りすぐられた太極拳士が集まり、演武を披露していた。
試合ではなく、一人か二人ずつが日頃の鍛錬の成果を披露する。
武器を持って舞う人、素手でゆったりと天と地を繋げようとする人、素手で力強く見えない敵と戦う人。
知り合いの子どもは高校2年生で力強い素手の演武を見せてくれた。
会場に一瞬シンと空気が澄む感覚が広がる。
魂の込もった動きは一つひとつ力強く、無駄がなく、あたかも相手がそこにいるかのような迫力があった。
演者の中には「演武」というより「演舞」の印象が強かった人も多かったけれど、知り合いの息子さんはお世辞抜きで圧巻だった。
後で聞くと二位だったと聞いて納得した。
改めて考えると「見えない敵」と戦うのは武道だけではない。
日々の生活も一緒だ。
本当に戦っているかと感じられるほどの集中力を持って目に見えない敵と戦う。
その覚悟と準備を徹底的に行いたい。
そう思った。