「ふぅー」
大きなため息が静かな部屋に響き渡る。
「幸せが一つ減るよ」
ため息を漏らした女性職員に上司が笑顔で語りかける。
そこからロマンスが始まるならいいかもしれないけれど、そのため息がグループリーダーならグループ下の人達は心配するだろうし、部長なら部員全体が気になって仕方がない。
ため息をつくと逃げてしまうのは幸せだけではなく、信頼やリスペクトも連れて行ってしまう。
いや、
それらを含んでの幸せが逃げるというのが本当のところではないか。
ため息という雄弁にはくれぐれも気をつけたい。