友人から聞いた話。
その友人の同僚は京都大学の化学の博士号を持っていて、日本の某有名企業の研究室で働いた後、今は外資の製薬メーカー勤務している。
「化粧品って、5000円の商品でも原価は5円くらいなんだよ。パッケージは別だけど。成分も大体分かるし、結構簡単に作れるから妻に作ったことがあるんだけど、いらないって言われた。」
化粧品を自分で作るというのには驚いた。
まるであり合わせで作る料理や中学生の理科の実験のような軽い感覚。
それを簡単に却下する妻の反応も面白い。その姿が目に浮かぶようで思わず苦笑い。
5000円の商品が5円でできるならばそれは1000分の1。こんな割安な買い物はない。
それをにべもなく断るというのはなぜだろう。
信頼性の問題もあろうし、効果の問題もある。
経済性よりも力を持つもの・・・
それは「ブランド力」。
たとえ原価が5円のものが5000円になっていようが、資生堂やらディオールの商品である方が購買意欲が湧き、満足度が高くなる。
エルメス、ディオール、資生堂、コーチにグッチにアルマーニ、シャネルにカルチェにロレックス。ヴィトンにプラダにバーバリー・・・
ワールドクラスのブランドを例に持ち出すまでもなく、ブランドは一夜にして構築することはできない。
我々が買うのは、
単なるブランドから得られる満足度ではなく、
それを支えている地道な努力の積み重ねとは考えられないだろうか。