祝祭の高原

「祝祭の高原」という言葉に出合った。

 

この本である。

 

資本主義の終焉やアフターコロナが話題になってもそれがどんな世界、社会になるのかをこれほどまでにシンプルで納得感をもって語られたことはなかった。

 

本書で後ほど示すさまざまなデータは、私たちが過去二00年にわたって連綿と続けてきた「経済とテクノロジーの力によって物質できる貧困を社会からなくす」というミッションがすでに終了していることを示しています。この状況は昨今、しばしば「低成長」「停滞」「衰退」といったネガティブな言葉で表現されていますが、これらは何ら悲しむべき状況ではありません。古代以来、私たち人類はつねに「生存が脅かされることのない物質的社会基盤の整備」という宿題を抱えていたわけですから、現在の状況は、それがやっと達成された、言うなれば「祝祭の高原」とでも表現されるべき状況です。

 

21世紀を生きる私たちに課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生装置を施すことではなく、私たちが到達したこの「高原」をお互いに祝祭しつつか頭新しい活動」を通じて、この世界を「安全で便利で快適な(だけの)世界」から「真に豊かで生きるに値する社会」へと変成させていくことにあります。

 

そのために3つのポイントが重要。

 

1つ目は「終焉の受容」であり、二つ目は「ポジティブに受け入れよう」。三つ目は「新しいゲームの始まり」。

 

さらに、本全体の要約として筆者自らがシンプルに下記のように紹介してくれている。

 

1.私たちの社会は、明るく開けた「高原社会」へと軟着陸しつつある。

2.高原社会での課題は「エコノミーにヒューマニティを回復させる」こと

3.実現のカギとなるのが「人間性に根ざした衝動」に基づいた労働と消費

4.実現のためには教育・福祉・税制等の社会基盤のアップデートが求められる

 

21世紀に入って20年が経ち、ここに来て一気に時代が加速度的に変わりつつある。

 

どこに向かって我々が進んでいるのか。

 

自分は何を意識し、目指すべきか。

 

祝祭の高原をどう生きていくべきか。

 

そのヒントを知りたい人にオススメの一冊である。