大仏建立の気運が高まっている
そんな呟きがネット上で話題になり始めているらしい。
思わず苦笑が漏れたものの昨今の異常気象(東日本大震災は言うに及ばず、今回の鬼怒川堤防決壊をもたらした豪雨や今日の阿蘇山の噴火!)やジャパンブランドを揺るがす様々な事件(東芝の不正会計処理問題、東京オリンピックのエンブレム問題、国立競技場の白紙化)、そして耳を疑うような邪悪な犯罪の数々・・・を考えるとあながち笑ってもいられない。
8世紀の中頃、聖武天皇が奈良の東大寺に建立した大仏は当時社会に広がっていた疾病や大飢饉、そして天変地異を鎮めるためだったと信じている人は多い。人々の信仰心の欠如を反省し、大きな仏様を作ることで赦しを請い、平穏無事を願ったのだと。
他方で、約7年かけ、のべ200万人以上を動員した巨大事業は人々の心の支えとなり、希望となった、それが狙いだったという説もある。増大していく社会不安を掻き消すために他の何かに目を向け、集中させる意図があったという。
21世紀の現代社会において、巨大な大仏を作ることが信仰心を表したり、異常気象や事件や犯罪を鎮めるとは誰も思ってはいない(?!)。それでも社会不安を解消するためのスケープゴートが用意されることは十分に考えられること。
大仏建立の気運が高まっているという。
それは文字通りの大仏ではなく、
暗喩としての大仏かもしれない。
21世紀に生きる我々自身が迷信にくらまされ、大仏建立の気運を高めていかないようくれぐれも冷静でいたいものである。