奇妙な夢を見た。
その広い会場のステージに上がったのは一人の落語家。
マイクを通して聞こえる声がなぜだか聞き取れない。
音量が小さいこともあるけれど、声が重なってわかるところとわからないところが微妙に混ざり合っている分、聴者はもどかしさを感じつつ、他の誰かが指摘するだろうと思って結局誰も何も言わない。
暫くすると流石に我慢し切れなくなった数人が係員に指摘をする。
すると、
「これでいいんです。実は落語は口パクで、ショーの一部なのです。むしろ非常にうまくいっていると言えるでしょう。」
との返事。
「なんだ、それ?」
そう思った矢先、落語で始まったはずの舞台がマジックに変わり、すり抜けショーに変わった。
いつの間にか自分もステージに引き上げられ、演者と一緒にすり抜けショーに加わる。信じられないくらい小さな枠をくぐり抜けるとセットの向こう側にはまた別の空間が広がり、そこを先へ進んでいくとまるで別の世界に出た。
そこはスペイン風の大きな家の庭。見方によると箱庭のようにも思える。
そこで一人で考え事をしながらゴルフのスイングをしていると、どこからともなく最初に登場した演者がやってきて、この世界の意味を語り始める。
この世界は自分を試す場所になっていて、自分にとって大切なものに気づくかどうかが鍵なのだという。
自分の価値観で生きるのか、他人の価値観で生きるのか。
それが試されているという。
その試験に合格したことを告げられ、次のステージの課題を与えられる。
そこでは自分の価値観をどれだけ実際の行動で表すことができるかが問われる。
そう言い終わるとその男はいつの間にか姿を消していた。
そこで夢から覚めた。
温かい布団の中でしばらく呆然とする。
夢の内容を反芻してみる。
その意味を考えてみる。
ここ数日間、自分らしさや自分の価値観について考えてきた故の夢だったと結論づける。
夢占いに頼らずとも、
「次に試されること」は間違いなく思っていること、大切にしていること=価値観を実践できるかどうかであろう。
ゲームはもう始まっている。