二種類の優しさ

 

日本の昔話の代表的な一つと言っていい「鶴の恩返し」に続きがあるという話を聞いた。

 

真偽のほどは知らないがこんな話。

 

機織りの最中には見てはいけないと言われていたお爺さんが好奇心に負けて覗いてしまう。

 

それを知った鶴は正体を知られたからには去らねばならなくなり、おじいさんとおばあさんの元から飛び去ってしまう。

 

その姿を見送りながらおばあさんが言う。

 

「おじいさんは、いつからあの娘が鶴だと知っていたの?」

 

「・・・」

 

「日に日に痩せ細っていく姿に耐え切れなくて、鶴を返してあげるためにわざと覗いたってどうして言わなかったの?」

 

「おばあさんがわかってくれたらそれでいいんじゃよ」

 

長渕剛の歌の中にこんな歌詞があったのを思い出した。

 

「優しさヅラした優しさは全く意味がねえ」

 

我々の社会は、その二種類の優しさで成り立っている。