改札前にて

いつもの駅の改札前に母と子ども二人が佇んでいた。

喧騒の中、そこだけは時間が止まっているかのような、映画のワンシーンのようだった。

お母さんが5歳か6歳かくらいの女の子とすぐ下の弟らしき子の肩を抱き、一心に改札口を見つめている。

誰かを待っている。

お父さんだろうか、実家のご両親が訪ねてくるのだろうか、はたまた・・・

自分も誰かを待っている。

誰かが自分を待ってくれている。

そう思うと胸が熱くなる。

誰かが誰かを待っている。