立派な歯車

 

「会社の歯車にだけはなりたくない」

 

昭和の末期によく聞かれた言葉。

 

大きな組織であればあるほど分業と専門化が進み、一人ひとりの役割が明確化され、その責務と効率が問われる。

 

そこでは歯車は別の場所に移動することは許されない。常に同じ場所で別の歯車とがっちり固定され、どれだけ軋むことなくスムーズに、かつ力強く回っていくことだけが求められる。

 

周りの歯車と噛み合わせが悪いと効率が下がるし、材質が硬すぎても柔らかすぎても破損の原因となる。

 

立派な歯車になることだけを考え、その歯車が回ることでその力がどのように伝わり、どのような成果物を作り出すかまでは考えない。

 

ましてや成果物の品質を保証するものではもない。

 

ただ立派な歯車になることだけを考えひたすら日々回るだけ。

 

令和になっても何も変わらない。