声の出る本屋さん
と言っても、本屋さんにスピーカーが付いていて・・・というわけではない。
「東野圭吾最新作⚪︎⚪︎ 本日が発売日です!」
「レジお願いします!」
「ありがとうございました!」
そこで働いている従業員が元気よく声を出している。掛け合っている。
一昔前には魚屋さんや八百屋さん、果物屋さんのような個人のお店では常に大きな声が飛び交っていたし、お店屋さんのおじさんたちの声は例外なくだみ声だった。そんな個人商店が集まった商店街が賑やかだったのはそんな元気な声が響き渡っていたこともあるのではないか。
その後、居酒屋や一部のファーストフード店で引き継がれたけれど、時代の流れと洗練されたサービスの価値観が高まり泥臭い声出しは鳴りを潜めるようになった。
元気な声は「失われた15年」と共に失われてしまった。
「声の出る本屋さん」をきっかけに改めて身の回りのサービス産業を見渡してみると至る所で元気な声が戻りつつあることがわかった。
声の出る散髪屋さん、声の出る歯医者さん、声の出るコンビニエンスストア・・・
声を出すことが、
人の声が、
活気を作る一番の方法だと人々が気がつき始めたからかもしれない。