お気に入りを捨てる


お気に入りのTシャツを捨てた。


大のお気に入りだっただけに何度も何度も何度も着ては洗い、洗っては着てを続けているうちに全体的に生地が薄くなって透けてきた。


愛着のある品を捨てるのは偲びないけれど、男のシースルーはいただけない。


いつものように洗濯機で洗い、陽に当て、風を通し、乾かしてからきれいにたたむ。


おもむろに頰にあてて心を込めて「ありがとう」を言ってから


捨てた。


心にぽっかり穴が空いた感覚が生まれ、


すぐに消えた。


他にもお気に入りのTシャツはあるし、


明日も来る。


多分。