尊重と無関心の間

 

個人情報の意味と価値が日増しに高まっていくにつれ、誰かについての情報が問われなくなりつつある。

 

誰かが休んだり、遅れたり、嬉しそうな顔をしていたり、辛そうにしていても、その理由や背景を問うことが憚られる雰囲気が強まってきている。

 

そんな風に感じるのは筆者だけだろうか。

 

東京在住特有の現象なのだろうか。

 

上京して間もない頃、10才くらいのやんちゃな男の子たちが小学校からの下校中にわいわい騒ぎながらこんなやりとりをしていた。

 

「お前、何見てる?」

 

スマホを見ていた友人に別の男の子が覗き込んだ瞬間、

 

「お前、俺の個人情報見たなぁ!」

 

と言って、真面目に責めていたのだ。

 

個人情報を尊重するのは素晴らしいことだと思いつつも、それが行き過ぎると無関心になり、その先にあるのは砂漠のような殺伐とした社会なのではあるまいか。

 

砂漠にあるオアシスのような場所を作りたい。

 

尊重と無関心の間に。