"Die with Zero"(ゼロで死ね)という本が世界的なベストセラーになっている。
数年前の定年後2,000万円が必要という話題は記憶に新しく、最近の株高による投資熱の高まりは、ひたすら資産を増やす重要性ばかり語られていたのにここに来て真反対とも言っていい考え方が出てきたのは興味深い。
真反対と言っても、貯金や投資の重要性を否定するものではなく、ただ貯める、殖やす、だけではなく、そもそもお金は何のためにあるのか、遣う目的やタイミングにフォーカスをあてていることにハッとさせられた。
作品の中で筆者は断ずる。
「人生は思い出を作るためにある」
と。
思い出を作るためにお金は存在し、歳をとってからよりも若いときにこそお金を賢く遣うことの大切さを語っている(歳を重ねると若い時に比べるとできることは減るし、感性は鈍るかららしい)。
そして、理想は死ぬときに資産がゼロになっていること。
なぜならお金はあの世へは持って行けないから。
日本人は統計的に死ぬときに最もお金持ちになっているのだという。
社会保障が不安定で国の借金が積み上がっているこの国では個人のささやかな防御策として貯金が2,000兆円を超えている。
この資産がマーケットに出てくれば、どれほどの経済効果になるだろう。
我々自身もそれだけ人生を豊かにでき、思い出をつくることができるのは間違いない。
思い出創造企業がこの国には必要だ。