電車から吐き出された人達がプラットホームを歩いている。
颯爽と歩く人もいれば足取りの重い人もいる。
みんながみんな一方向に歩いていく。
プラットホームの出口という一つの目的地を目指して。
その先はもちろん人によって異なる。
職場を目指している人もいれば、家路を辿る人もいる。面接に向かう人もいれば、デートの待ち合わせ場所を目指している人もいる。
そういう自分も普段は常に行先があって一心不乱に歩いている。
たまたま空白の時間ができて、立ち止まって周りを見ていると、急に「客観的な世界」が出現する感覚に包まれた。
特に意味はない。
普段は自分という窓から見た世界に生きていて、「客観的な世界」を意識することはあまりない。
こうして少しまとまった時間に街で人々が行きかう姿を見ていると自分自身の世界とは正反対の「客観的な世界」を実感できる。
とは言え、「客観的な世界」から見る「自分の世界」もまた「客観的な世界」の一つなのだろう。
流れゆく人波を見ながらふとそんな想いが頭の中を流れていった。