アフリカから来た殺戮者

 
エボラ出血熱が猛威を振るっている。
 
 
西アフリカのシエラレオネやギニア、リベリアを中心に広がりをみせていた感染症はアメリカ、スペインでも感染者を出し、世界中の人々が戦々恐々としている。


1970年代に発見され、過去にも何度か流行したもののこれほどまでの拡大はみられなかった。


その激烈な症状と50〜80%ともいわれている致死率を考えると世界中がパニックに陥ってもおかしくはない。実際WHOの発表によると10月末時点で感染者数は1万3500人を越え、死者も5000人に届こうとしている。8月に3000強だった患者数が毎月倍々で増え続け、もしこのペースで感染者が増え続ければ3年を待たずに全人類に拡がることになる。


空気感染しないこと、症状の出ていない人からは感染しないことを考えるとそれぞれの国が水際対策をしっかり取っていれば必要以上に恐れる必要はないが、それがイコール無知でいてよいということにはならない(国を信じて良いことなど一つもないことをそろそろ我々は学んだ方がよい)。
 
 
そんな人類の危機と言っていいような状況にも拘らず「外来種」をテーマに日本経済新聞が掲載した10月31日付けの「春秋」は秀逸だった。


 
 

福島県富岡町のJR富岡駅。この場所で、線路がどこにあるかさえわからないほど覆い茂ったセイタカアワダチソウの話を、先日の本紙朝刊が伝えていた。原発の事故で住民は避難したまま。人の姿が消えた町はこんな光景になってしまうのかと、いたたまれなくなる。

▼福島第1原発の周辺では、田畑一面にセイタカアワダチソウの花が咲き、黄色いじゅうたんが広がっているように見えるという。民家の庭にも入り込み、建物を押しつぶさんばかりに生い茂る。思い出の地を埋め尽くしていく植物の波。いまなお避難生活を送る人たちは、二重にふるさとを奪われるような思いであろうか。

セイタカアワダチソウは、よく知られた外来種である。原産地の北米から、荷物に種子がくっつくなどして持ち込まれたらしい。植物でも動物でも、外来種は繁殖力が強く、生態系の中で悪役となっている。ただ、多くはペットや観賞用とされたり、船や飛行機に偶然閉じ込められたりして、無理やり運ばれてきたものだ。

▼着いた先がたまたま日本で、そこで必死に生きている。原因が人の行いにあるとすれば、単純に外来種だけを責めてすむ問題ではないだろう。なにしろこんなジョークもあるくらいだ。かつてアフリカの一部にしか生息していなかったのに、世界中に広がって生き物を滅ぼしている外来種はなに? 答えは「人類」である。

 

これを読み終わって暫くしてこんなブログを書いていたことを思い出した。


地球の癌細胞 - おもしろきこともなき世をおもしろく


手塚治虫の凄さを改めて思うとともに人類の未来について想いが宙に舞い上がって行った・・・




下記はエボラ出血熱についての厚生労働省のサイトの一部。参考までに。



問1 エボラ出血熱とはどのような病気ですか?

  • 答  エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2~21日(通常は7~10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はないため、患者の症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。

問2 どのようにしてエボラウイルスに感染するのですか?

  • 答  エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。
     また、流行地では、エボラウイルスに感染した野生動物(オオコウモリ(果実を餌とする大型のコウモリ)、サル、アンテロープ(ウシ科の動物)等)の死体やその生肉(ブッシュミート)に直接触れた人がエボラウイルスに感染することで、自然界から人間社会にエボラウイルスが持ち込まれていると考えられています。
     なお、WHO(世界保健機関)は、流行地でエボラ出血熱に感染するリスクが高い集団を、
    ・ 医療従事者
    ・ 患者の家族・近親者
    ・ 埋葬時の儀式の一環として遺体に直接触れる参列者
    としています。
     エボラ出血熱は、咳やくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトに伝播する病気ではありません。病気に関する知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができます。