モノ作り復権のために

日本のモノ作りの強さが失われつつあるという声を最近よく耳にする。



一昨日も亀山モデルの液晶テレビで一世を風靡したシャープが1社での垂直統合を諦め、アジア資本に光を求めるニュースが流れた。



シャープ以外でもトヨタやソニー、パナソニックらも台湾、韓国勢等のアジア勢に追い上げられ、アップルやグーグル、フェースブックなどアメリカのIT系企業の戦略にキリキリ舞いさせられ、全産業の底辺を支えると言っても過言ではない部品産業すらも世界的な競争力を急速に失いつつある。



その上、東日本大震災原発問題による電力供給の制限、値上げ、一服感があるとは言え、歴史的な円高水準が日本の企業に追い打ちをかけている。



モノ作りの強さが失われてきていることの理由は何だろう。



仮説を立ててみる。



◆多くの作業がオートメーション化してきている=機械が機械を作る
◆多くのモノがコモディティ化してきている=一つひとつの製品から特殊性が失われ、日常品化しているために差別化しにくくなってきている、差別化自体の必要がなくなってきている
◆技術者の少子高齢化=匠の技を継承する人材不足
◆後継ぎ問題=中小企業の人材採用難、中小企業の存続難
◆下請けシステムの危機=大手完成品メーカーの力が強過ぎることでの中小企業への皺寄せ
◆大手メーカーのサラリーマン化=大手メーカーの技術者がサラリーマン化し、技術を磨く意志と使命感の薄弱化
◆デジタル化の罪=0か1の世界が広がり、アナログのモノ作り自体の価値、必要性が相対的に低くなってきている
◆モノへの価値観が低くなっている(モノに囲まれた生活)



アジアを含めた新興国の台頭、その労働市場の成長と進化が大きな原因の一つであることは言うまでもない。



日本経済の相対的な地位低下は我々自身が思う以上に深刻だ。



だからこそ、これまで我々が得意としてきた「モノ作り」を復権させなければ、日本の未来は暗い。



果てしなく暗い。



なぜなら、サービス、金融、観光、アニメ等のサブカルチャーのいずれをとっても、国の基幹産業とするにはあまりにも未熟で、時期尚早と言わざるを得ないから。



起死回生の一手はあり得ない。



ただただ試行錯誤を繰り返し、多くの手数を出し、考え得るありとあらゆる手段を講じる。



それしかないのではないか。



モノ作り復権のためにできること、やるべきことは山ほどある。



ヒントはあちらこちらに転がっている。



★エネルギー、バイオ、医療等の新分野におけるモノ作り
★人類が経験したことのないスピードで進行している少子高齢化に対応するモノ作り
★日本人が得意としてきた「軽薄短小」化をさらに研ぎ澄ませるモノ作り
★日本人らしさ(歴史、文化、慣習等)を活かしたモノ作り
★日本人の感性(デザイン)を活かしたモノ作り



「新しい価値を創る」



ヒントは全てここに集約している・・・