「魔法の水」
とは、石油のこと。
2013年本屋大賞を受賞した「海賊とよばれた男」を読み終わった。
感慨に耽っている。
余韻を楽しんでいる。
モデルは出光興産の創業者である出光佐三氏。明治生まれの信念の人。気骨の人。その生き様は凄まじく、架空の人物のよう。
小説としては、一文が短い、形容、描写が少なく、事実を淡々と語っていて・・・など普通の書評では面白くない。個人的に学んだこと、気づいたことを掘り下げてみたい。
- whatからhowへ、howからwhatへ
- 無私の人、大義の人
- 本質を貫く、貫く強さ
3つのキーワードで考えてみる。
主人公である国岡鐵造がこだわったのは「魔法の水」と呼ばれた「石油」。戦前戦後の艱難辛苦、メジャーをはじめとする国内外からの圧力や妨害にも屈することなく戦い続けた姿に仕事や人間、日本人に対する絶対的な信頼と信仰を感じずにはいられなかった。石油という"what"からいかに生きるのかという"how"を強烈に貫き通した姿に心を深く揺り動かされた。と同時に、自分の仕事はいつの間にか薄っぺらい"how"で終わっていて、使命感の源になるはずの"what"が蒸発してしまっていると痛感した。
「無私の人」はいかなる時でも自分や自分の会社を先に考えるのではなく、国家や業界、消費者という大義を優先する人のこと。私利私欲と全くの正反対の存在。それを人生を通じて貫き通した主人公の凄さにただただ圧倒され、憧れた。
「本質を貫く」は激動の時代の流れの中で事業継続の危機や国際関係や力関係といった判断を曇らせる様々な要因があったとしても常に本質を見抜き、貫き通す強さを主人公は持っていた。持ち続ける強さを貫き通した。
こんな凄い人が実際に存在したこと、同じ日本人であること、そのことに大きな誇りと明るい希望を感じることができた。
あとは覚悟を決めて、実行するだけだ。
自分を信じて、
日本人を信じて。