2014年の月一企画、不識塾の課題図書も今月で3回目。
今月選んだ1冊はこれ。
一言で感想を述べると月並みだが、「目からうろこが落ちる一冊」。
「憲法原論」というタイトルだけで無味乾燥な面白くない本を想像していたものの実際に読み始めると文調、構成、内容とも素晴らしく、文章を読むこと、ページをめくることがこんなに楽しいと思えるなんて。
そして、内容もショッキング。
出だしの「今この日本の低迷は全て日本国憲法が死んでいるから」という問題提起に驚かされ、その理由を西洋文明の成り立ち、変遷から民主主義、資本主義の本当の意味、平和主義社が戦争を作る理由、そして、なぜ日本国憲法が死んでいるのか、蘇らせるためにできること、その全てで目からうろこが落ちる感覚があった。
まるでベストセラー小説を読んでいるような驚き、興奮、そして考えさせられる第一級の(そして最初の)憲法の教科書だと感じた。
読み進めるうちにどれだけ自分が何も知らなかったことに気づかされ、また、なんとなく感じていたこの国の問題や将来の不安が明確に形として現れるようになった。それは、具体的な行動を伴う対応策を否応なしに考えさせ、実際の行動への欲求を高めることは間違いない。
低迷し、出口のない迷路を彷徨っているこの国には強いリーダーシップが必要ではないか、時には独裁者と呼ばれる人間が出てきてもよいのではないか、そんな人間しか真の意味の改革はできないのではないか、そんな独裁者待望論と平和主義こそが国家を間違った方向に進ませることを歴史から学んだ。
少しばかりの景気回復で浮かれ気分がこの国に充満しつつあることも事実。
この国の真の問題から目を逸らし、空中に彷徨う形ない幻想を信仰し始めることがどれほど危ないかをもう一度思い出し、ゼロから積み上げていくことを恐れずに行う勇気を持たなければならない。
それを誰かに頼むのではなく、まずは自らが行う覚悟と努力を始めなければならない、始めたいと改めて思った。
次の一冊が楽しみでならない。
不識塾 課題図書 -不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書-