君たちはどう生きるか
は、吉野源三郎による少年少女向けに書かれた哲学の入門書と言っていい名作だ。
筆者が子どもの頃買ってもらって、しばらくは難しく感じられて手にとっていず、中学生に入ってから一通り読み、印象に残っていた。
それをたまたま本屋さんで見つけて自分の子どもたちに買ってきた。
小学6年生だった息子には案の定まだ難しかったみたいで本棚の肥やしになっていたところ、数十年ぶりに筆者が手にとって読んでみた。
面白い!
コペル君と友人たちのエピソード、おじさんからの手紙で構成されたお話は子ども向けでありつつも人はどう生きるべきかをいろんな角度から具体的な例とそこから学びとれる教訓とを織り交ぜてわかりやすく説明される。
「人間て、ほんとに分子みたいなものだね。」
そう語りかけるコペル君におじさんはものの見方について丁寧に、真剣に答えていく。
本の最後の方では主人公が意図せずとも友人たちを裏切ることになり、死が頭を過るほど悩みに悩む。そこでおじさんは厳しく優しく諭すようにいくべき道を指し示す。あくまでその道をいくのは主人公であり、一歩を踏み出す勇気を振り絞るのも彼自身であると強調して。
「またあやまちをかさねちゃあいけない。コペル君、勇気を出して、ほかのことは考えないで、いま君のすべきことをするんだ。すぎ去ったことは、もうなんとしても動かすことはできない。それよりか、現在のことを考えるんだ。いま、君としてしなければならないことを、男らしくやっていくんだ。こんなことでーコペル君、こんなことで、へたばってちゃあだめだよ。」
これまで何十年と生きてきて、自分自身の行動規範を改めて考えようとしているところにふと舞い降りてきた。まるでチルチルミチルの青い鳥のよう。
次は、
君たちは、どう生きるか。