・・・結(むすび)って知っとるか?
むすび?
土地の氏神様をな、古い言葉で「結」って呼ぶんやさ。この言葉には深ーい意味がある。糸を繋げることもむすび。人を繋げることもむすび。時間が流れることもむすび。全部神様の力や。わしらの作る組紐もせやから神様の技、時間の流れそのものを表しとる。寄り集まって形を作り、捻れて絡まって、時には戻って、途切れ、また繋がり、それがむすび。それが時間。
飲みない。
ありがとう。
次、私も。
それもまたむすび。水でも米でも酒でも人の体に入ったもんが魂と結びつくこともまたむすび。だから今日のご奉納は、神様と人間を結ぶための大切なしきたりなんやよ。
2016年の大ヒットアニメ、「君の名は」の1シーン。三葉と四葉がおばあちゃんと一緒に宮水神社の御神体に向かう道のりで交わされる会話である。
東日本大震災が起きてから今日で丸7年が経った。
映画の中では彗星の欠片が起こした大惨事から多くの命が救われたけれど、現実の世界で起こった大震災はあまりにも巨大な爪跡を心に残し、今も尚多くの人々を苦しめている。
それでも生き残った人はここまで来たこと、来れたこと、それを思い起こせばいい。
ここまで来れた理由、ここまで支えてきてくれた人たちとの結びつきを思い出せばいい。
天に還った魂との結(むすび)を再確認する。
そして、これまでも、ここからも流れ続けていく時間、結(むすび)を信じて、力強く、生きて行けばいい。
神様を信じて。
結 ーむすびー を信じて。