ついに念願の「三鷹の森ジブリ美術館」を訪問することができた。
JR三鷹駅に着いて、南側から歩いた。
館内は撮影禁止だけれど、屋外はOKとのこと。
事前予約が必要ということで期待半分、期待ハズレ半分だったけれど、予想を大きく超えて良い気持ちになれた。
館内の写真が撮れなかったのは残念だったけれど、それも自分の目で見て、感じて欲しいという宮崎駿監督の思い故。
一旦中に入ったら決まった順路はなく、好きなように好きなところで迷子になってください、というスタンスが気楽であり、子ども心を呼び起こし、館員さんにも浸透していて、気持ちのいい対応、やさしさに包まれていた。
展示物、企画も様々。
最初の方に見た「トトロぴょんぴょん」と名付けられた立体ゾートロープなるものも象徴的だった。
夕暮れ時、遊びに夢中に
なっていると、いつの間にか
知らない人が、混じっていることがあります。
その大きな展示品は、1秒間に一回転する盤の上に、「となりのトトロ」でおなじみのキャラクターが18体並んでいて、発光ダイオードの照明が明滅する度にキャラクターがその場で動き始める。
絵を動かしたいというのと別に
人はもう一つの別の世界をのぞいてみたいと願ってきました。
物語の中や遠い国へ。未来や昔の景色を見てみたいと思ったのです。
動かないパノラマボックスは、ゾートロープよりらもっと前から作られてきました。
そのとなりにある「パノラマボックス」は何重にも絵が重ねられていて、そのうちの一つ、森の奥にあるトトロの後ろ姿をメイが見ている姿が印象に残っている。
深い、のだ。
あたかもこの世界全体を表すかのように。
次は、ここ三鷹の森ジブリ美術館でのみ上映されている自主制作映画を観た。今月は「くじらとり」だ。
海の近くにある幼稚園が舞台で年長組の子どもたちが船を作って航海に出る話。子どもたちの可愛い声と想像力あふれる映像が観客を夢の世界に連れて行ってくれる15分程度の短編アニメ。
その先も「色が語ってくれること」で影の役割や時刻によって変わる色、天候によって変わる色、日なたと日陰におけるで色の違いのこだわり、ロシアの昔話絵本の挿絵を参考にした話やら夜の暗さを色で感じさせたり、水の動き、植物を克明に描くテクニック、例えば、新芽のフレッシュさや枯れた色も同色系で描く等、自然描写、人工物描写ともリアリズムの追求は果てしない。
アニメを製作する現場についてのコーナーも最高だ。
宮崎駿の仕事部屋や昔ながらの製作現場を模して作られている部屋も興味深い。
文字通りバケツいっぱいになったちびた鉛筆の山、図書館を思わせる図鑑の山、実際の製作現場での微笑ましいエピソード(例えば、昔はアニメーターと最終工程を担当する人たちが締切前には力を合わせて仕事をするうちにロマンスが生まれたけれど、今は分業が進んでいて、そんなことは起こりえない・・・とか)、その場でしか生まれない空気に包まれた特別な空間だった。
共通して言えるのは、「人間讃歌」であり、「生命讃歌」。
アニメ製作という一つの仕事であり、産業であり、世界に誇る日本の産業の一つというのもあるけれど、それ以上に一から世界を作るという創造主としての覚悟と責任感、そしてやさしさを感じた。
機会のある方には是非訪問を勧めたい。
参考)
http://norio373.hatenablog.com/entry/20110921/1316615904
http://norio373.hatenablog.com/entry/20110630/1309445191
http://norio373.hatenablog.com/entry/20110804/1312424263
http://norio373.hatenablog.com/entry/20121017/1350481586
http://norio373.hatenablog.com/entry/2013/12/26/231243
http://norio373.hatenablog.com/entry/2014/02/11/214101
http://norio373.hatenablog.com/entry/2015/03/01/000410