白木のカウンターに一杯のお味噌汁が置かれていた。
お椀の中には味噌汁が五分の一程度入っていて、その横にある小さな器には少し焦げ目のついた刻まれた玉葱のような野菜が一掴みちょこんと乗っていた。
お椀の横にはメモが残されていて、こう記されている。
「ほんの僅かな野菜でもその本質を引き出せればこうなります」
小さな和紙に書かれた多筆の文字を三度黙読し、意味を噛みしめた後、先の尖った木製のお箸を右手に持ち、左手でお椀をおもむろに持ち上げ、口に運んだ。
ゆっくりと入ってくる味噌汁は出汁と玉葱の本質が絡み合い、優しく、かつしっかり自己主張する心も体も喜ぶ美味しさだった。
もう一杯飲みたいという衝動に駆られ、白木のカウンターの奥を覗き込む。
そこには・・・
というところで目が覚めた。
不思議な夢だった。
どんな些細なものにも本質があり、その本質をうまく引き出せれば誰もが驚く作品ができる。
そんな教訓めいた夢だった。
もしかするとそんな難しい話ではなくて、単に美味しいお味噌汁が飲みたいだけかもしれないけれど・・・