ベクトルの方向

 

「ベクトルの向く方向を常に意識しています。」

 

ある人がそう言った。

 

厳しい時代の中ではふとしたきっかけで感情が揺さぶられ、時にドッと流れ出す。

 

それが一つの方向に集中すると一つ間違えると勢いを増し、誰も止められず、行き着くところまで行ってしまう。

 

 昭和初期のこの国のように。

 

その人は続ける。

 

「ベクトルを正しい方向に向けることを意識しています。ミッションやヴィジョンという大きな方向を見据えつつ具体的なゴールをみんなが向かうようにしたいと思っています。」

 

更に、

 

「あと、不満も出やすいので、その時にはまずは自分でできること、自分の役割や責任について考えるように言っています。他者や組織のせいにし始めると改善策は浮かばなくなるし、何しろ自分の中に不満が充満したら自らを苦しませることになるからです。他責にならないようにベクトルをまずは自分に向けるように意識しています。」

 

口調は決して流暢ではないけれど、実直で誠実な人柄が表れた立派な発表だった。

 

一人でも多くの人の心に染み渡り、良い影響が波及していくことを祈っている。