原発がゼロになる。
東日本大震災後、国内の原子力発電所で最後まで運転を続けていた北海道の泊原発3号機が定期検査のため停止する。
実質的に原子力による発電がゼロになるのは今夜11時頃。
1970年以来42年ぶりに日本国内の全ての電力が原発以外から供給されることになる。
日本の原発依存率が約30%であることを考えると原発抜きの電力供給は考えれない。しかし、関西、九州、北海道で供給不足が懸念されている以外はほぼ対応可能なよう。
原発の再稼働については議論が分かれている。産業界はこれ以上の電力不足は更なる海外移転の加速に留まらず死活問題にまで発展しかねないと懸念を表明しているし、クリーンエネルギーを普及させるために個人負担が増えることに反対をしている人たちも少なくない。国家防衛の観点からも国内全ての原発廃止が緊急事態の核武装というカードを捨てることにもなるという論点も理解できなくはない。これからも急速な経済発展を続けていく途上国で必要な電力を賄うために原発が次々と造られていく計画があることもわかっている。
それでも敢えて脱原発の立場を取りたい。
「フクシマ」は「ヒロシマ」と同じくらいの大きな衝撃を世界に与え、我々日本人の役割は世界の、人類の指標を指し示す役割を担っているのではないかと思うから。
我々日本人はこれまでの歴史の中で危機的状況に爆発的な力を発揮してきた。明治維新に第二次世界大戦からの復興、オイルショックやプラザ合意後の急激な円高・・・厳しい状況に追い込まれれば追い込まれるほど信じられない力を発揮してきた。
目の前のことだけを考えると原子力発電は必要であろう。しかし、東日本大震災で原子力発電は改めて人間の手に負えないことが証明された。大震災をきっかけにクリーンエネルギーの開発に拍車がかかり、技術的ブレークスルーを起こし、規模の拡大を通じて世界に広げていくことができるならば、今回の大震災を「災い」ではなく「天佑」と捉えることもできるのではないか。
そんな大義のために、
人類の継続的成長発展のために、我々は多少の不便や負担を我慢する力と覚悟を持っていると信じている。
今日の「子供の日」が「原発ゼロの日」と重なることを偶然で終わらせてはいけない。
今日という日を未来の世界を担っていく子供たちのための記念すべき日にしていくために、
まずは自分が何をするかを考えてみようではないか。