リンリンと鈴虫の声が辺り一面に鳴り響いている。
なんて美しいのだろう。
昔聞いたことが頭に浮かび上がってくる。
虫の声を美しいと思うのは日本人くらいのもの。
本当なのだろうか?
自然の中に生きている我々もまた自然の一部。
我々の先祖はそのように感じて豊かな文化を育んできた。
お花見、お月見、虫の声・・・
桜やお月様、秋の虫の命は短い。
我々は、その姿や音色の素晴らしさだけに感動しているのではなく、
その短い一生を精一杯生きようとする姿に真の美しさを見い出しているのかもしれない。
風流であること・・・
それは風が絶えず流れていくように全てのものは移ろい変わっていくこと。
この世に存在する全てのものは永遠に変わり続けていく。そのために命には限りがあり、だから命は精一杯生きることを希求する。人はその姿を美しいと感じ、そして、自らの命の尊さを知る・・・
日本人に生まれてきたことを誇りに思う。
この感覚を次の世代にも引き継いでいかなければならない。
気がつくと、
秋がもうすぐそこまでやってきていた。