インフラ危機を乗り越えろ

1960年代、70年代に人類史上最速のスピードで進んだ日本のインフラ整備。



それから50年が経った今、その老朽化も人類史上最速で起きている。



莫大な造り替え費用がかかるにも拘わらず、地方も国も財政状態は先進国の中でも最悪の状態。



このまま老朽化を放置して物理的な崩壊に向かうのか、或いは無理な借金をして財政的な崩壊に向かうのか。



非常に厳しい選択の中に我々は自分たちを追い込んでいる・・・



NHKスペシャル「シリーズ日本新生 橋が道路が壊れていく・・・インフラ危機を乗り越えろ」からの一節である。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0331/



首都高速道路も建設から半世紀が経ち、あちこちで痛みが進んでいる。年間600億円以上かけて修理しているにも拘わらず、未補修の箇所は9万6000カ所を数えるという。架け替えの検討に入ったものの費用が1兆円もかかり議論はなかなか前に進まない。



全国に張り巡らされた水道管は60万キロにも及ぶという。うち4分の1である16万キロが耐用年数を越え、全国のあちらこちらで水道管が破裂し始め、住民の生活を危機に陥れている。



年間およそ9兆円かかっているインフラ維持更新費用は年々増え続け、2010年には新規建設費を越えた。20年後には16兆円を越え、今後新規建設を一切せずとも維持更新すらできなくなる可能性すら出てきている。



この厳しい状況の打開策の一つにアメリカのヤングスタウン市や富山市が取り組んでいる街の「コンパクト化」がある。



大学教授や市や町の地方自治体の長、市民がネットで繋がり、意見を述べたり議論をしたりしていたものの「総論賛成各論反対」の域を出ない感じは否めない。番組としてはよく構成されたものだったけれど、沸々と疑問が湧き続けた。



そんなことを言っている余裕がどこにあるのだろう。



心情的なことを言っていて、何が解決されるのだろう。



誰も長く住んだ家や町を離れたいとは思わない。誰も住み慣れた町が変わることを望まない。誰もお金をかけて造ったものを放棄したくはない。



そうしなくて済むのならしなくていい。しないに越したことはない。



けれど、



そんな心情的なことを言っていられない時が来たということではないか。



ほんの始まり
http://d.hatena.ne.jp/norio373/20120420/1334932998



地方も国も莫大な借金を抱えている。人類がこれまで経験したことのない急激な人口減少時代に突入している。



社会インフラをどうするかは日本という国のこれからの有り様にも直結する。



「正直なところどこの自治体も把握していなかったと言えるのではないでしょうか」



なぜこのようなことになったのかを問われた専門家の回答だ。



我々は国や役所を非難するだけではなく、我々の生活をもっと意識し、それを管理している国や役所にもっと厳しい問いかけをしていくべきなのだ。



そのためにまずは自分が意識することから始めよう。



その輪が広がっていけばいい。



今日あのパナソニックが本社人員を半減するというニュースが流れた。



国や自治体にもできないはずはない。