今年の月一企画も今日で11回目を数えることとなった。
今月の一本はこれ。
昔から思い入れがあるのは映画がモチーフになっていることが大きいけれど、人や物を好きになることの素晴らしさや辛さを個人的な想いや経験と重ねるところが多かったから。
もちろん秀作として欠かせない要素は確実に満たしている。
物語の展開、ダイアログ(台詞)のよさ、子役をはじめとした人間味溢れる登場人物たち、心に響く音楽、イタリアの田舎町(シチリア島)の美しさがほのぼの&ユーモア溢れるタッチで描かれていて観ていてなんとも心地いい。観ながら映画が終わるのが悲しく、寂しく感じられる数少ない作品だ。
その印象が今回大きく変わったのが「完全オリジナル版」。
このブログを書くために数年ぶりにTSUTAYAで借りてきて観て驚いた。
ネタバレはしたくないけれど、劇場公開作品ではカットされたシーンがかなり多く挿入されていて、特に最後の部分は衝撃的でさえあった。
後半の描写が長くなっているだけでなく、映画の印象を大きく変えかねないほどのインパクトを持っていたから。
物語の深みが増すという意見もあるだろうけれど、個人的には劇場公開作品の方がよかったという印象は拭えない。
もちろん「完全オリジナル版」ということで、カットされたシーンが追加されたり、語られなかったエピソードが挿入されて登場人物の想いの深さや背景がより理解できたのは間違いない。
ただ、全てが語られることで失われるものや受け取り方が変わることもある。
最初の作品への想い入れが深かっただけにそのように感じるのかもしれないけれど、こんなに別編集の作品で印象が変わることはめったにない。
もう一度、劇場公開版を観てみたい。
そんな気持ちになった。